2012年9月1日土曜日

人事部と現場の距離

私は「現場経験がある人事」だったので、それほど感じたことはありませんでしたが、会社の中で、人事部と現場の距離というのは案外微妙なことが多いものです。
ベンチャー企業ではそれほどでもないですが、会社が一定規模を超え、人事部門が組織として機能し始めると、概ねその距離は広がり始め、現場にとって人事部は、「現場をわかっていない存在」、「煙たい存在」になっていきます。

これには仕方がない面もあります。そもそも人事部は、その職務分掌として、給料や評価といった個人の情報を一括して持っています。また経営者にとって人事部は、人事施策を取りまとめて実施する部門であり、当然要求は集中的に出されます。

本来は人事部が経営からの要求をかみ砕き、現場の考えを吸い上げ、双方を調整、説得するなど、経営と現場を橋渡しする役割が求められますが、現場の多様な意見に対応するだけのマンパワーも無く、経営者の意向を優先することも多くなります。その結果、現場にとっての人事部は「経営者と一体化した権威部門」とみられがちな存在になってしまうのです。

中には経営者の考えで、意図的に現場と人事部を遠ざけようとする会社もあるのですが、これが好ましいかといえば、私は決してそうではないと思います。人事部は“人”を扱う部署であり、“人”とは現場の社員です。“人”を扱う部署が“人”と疎遠になり、信頼関係を欠くことが、経営上も組織上良い訳がありません。

実は、私たちのようなコンサルタントが企業のお手伝いをする時、この溝を埋める役割になることが必要な事例が多いです。それほど現場との人事部との関係作りは難しいということの裏返しでしょうし、膠着した関係を打開するために、外部人材を活用するのも一案だと思います。

ただ私たちコンサルタントも、依頼者は経営者か人事部門のケースが多いですから、ともすればそちらに偏りがちになってしまいます。間に立って橋渡しする立場である事を、しっかり意識しなければならないと思います。

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