2016年9月16日金曜日

「健康経営」は必要なことか、それとも立ち入り過ぎか



最近の企業の取り組みとして、「健康経営」ということが注目されています。
健康経営とは、「企業が従業員の健康に配慮することが、経営面においても大きな成果につながる」との認識に立って、健康管理を経営的視点から考え、経営戦略の一環として実践することをいいます。
具体的には、メンタル面、フィジカル面双方の状態を改善する取り組みを全社的に行い、従業員の健康増進を図ることで、企業の生産性向上につなげることを目的としていて、食生活や運動、飲酒、喫煙、メンタルなどで従業員個人へのアプローチや、労働時間や職場環境など企業の制度から取り組みもあります。

実際におこなっているのは、まだまだ大企業が中心ですが、目的としてはどんな企業にも合致することです。メンタルヘルスやストレスチェックなど、心の問題への取り組みも重要ですが、生活習慣病から仕事に支障をきたしているような人も多数いる現状を考えれば、これから徐々に進んでいく取り組みではないかと思っています。

この「健康経営」の話題に対して、必ず見られる反応として「会社がそこまでやる必要があるのか」というものがあります。個人の生活の中で行われる健康管理に類することは、あくまで社員個人の問題であり、会社が立ち入るところではないという考え方です。

もっと言えば、「何を飲み食いしようが、運動しようがしまいが、タバコやお酒に関わることまで、いちいち会社に口出しされたくない!」という感覚の人が、意外にたくさんいます。確かに個人の嗜好の問題にまで立ち入られるのは、仮に相手が家族であっても、受け入れられないような人がいるのはわかる感じがします。

では、この「健康経営」が、この反応のように立ち入り過ぎなのかということを考えてみたとき、頭に思い浮かんだことがあります。

私の周りには、自分で事業を経営している人や自営業者もたくさんいて、まさに体が資本、自分が倒れたら事業の根幹にかかわるような人たちですが、そういう人たちが、では実際にどこまで健康管理ができているかというと、なかなか実践できていないという人がかなり大勢見受けられます。

あくまで私の印象ですが、若い人よりは年令が高い人の方が意識が高く、起業したてで余裕がない人よりは、起業してからある程度年数を経た人の方が、何かしらに取り組んでいる感じがします。

また、やっているという人でも、その内容は人それぞれで、毎日走っているという人が、何年も健康診断を受けていなかったり、サプリメントに凝っているのにタバコだけはやめられなかったりと、一貫性がない感じも多々あります。

そして、何らかの取り組みをしている人がきっかけとして言うのは、誰かが病気で倒れたというような「周りからの影響」です。また、それを継続するためには、一緒に取り組む仲間がいるとか、他に管理している人がいるとか、自分の意志だけで続けられている人というのは、意外に少ない感じがしました。

最近は、スマートウォッチやスマホのアプリなど、健康管理に使えるウェアラブル端末がいろいろ出ていますが、ある人は、端末から「そろそろ歩け」とか「食べ過ぎ」とか言われることに多少イラっとしながらも、結局言うとおりにしてしまうとおっしゃっていました。
やはり自己管理だけで続けることは難しく、相手が機械であったとしても、外部から働きかけがあると、実行しやすくなるということがあるようです。

自分の体のことを、自分だけで管理するのは、相当に意志が強くなければ難しいことです。
そう考えれば「健康経営」の名目でも、自分の健康管理に関して誰かから声をかけられ、小言を言われたりアドバイスをされたりということは、意外に必要なことではないかと思います。

当事者にとっては、多少煙たい気持ちになるのかもしれませんが、現実を考えれば、こんな取り組みも悪くないのではないかと思います。


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