2012年11月1日木曜日

「社員を甘やかさない」とはどういう意味なのか


「社員を甘やかす風土にしたくない」とおっしゃる経営者がいらっしゃいました。
私も総論では理解しますが、その方のお話として「不平不満は言わせない」「会社の都合で自分が判断する」というニュアンスがあったので、少々違和感を持ちました。

以前にも書いたことがありますが、「社員に厳しい」というのが要求内容や目標設定など、業務遂行や仕事のレベルへの厳しさであれば、それは当然に必要なことであり、組織の成果向上にもつながることですが、接し方や物の言い方のキツさ、無言の圧力やプレッシャー、問答無用という風潮を「社員に厳しい」とするのは、会社が社員に要求する厳しさとして、私は方向性が違うと考えています。
単に「接し方の厳しさ」であって、本当の意味での厳しさではないからです。(“ピリピリした空気”イコール“厳しさ”ではない)

「うちの会社は厳しいよ」という言い方をするところは結構多いのですが、その中身が「教える余裕はないから自分の力でやれ」という放置プレーだったり、「結果が出ないと会社にいられなくなるよ」という一種の脅しだったりということが、最近増えているように思います。

以前ある大手企業の社長様から講演で伺ったお話ですが、その会社では社員が身につけなければならないスキルや要求水準は非常に厳しい内容であると同時に、会社は研修など学ぶ場をたくさん設け、社長自ら数百人いる管理職全員と懇談して話を聞き、組織横断的にコミュニケーションが取れる仕組みを作っていくなど、様々な環境、風土作りを行ったそうです。

その会社の社長様は、「うちは社員を甘やかしていないし、逆に厳しいと思うよ」とおっしゃっていましたが、これこそが本当の「厳しさ」なのではないかと思います。

組織の成果向上を考えれば、社員が最大限の成果を出せるような環境づくりやサポートを、会社側からも行っていくのは当然であり、それをすべて自分でやれというのは会社としての役割放棄であり、これは「厳しさ」ではないと思います。

一方で、社員の側も、程度の差はともかく「組織の成果に貢献すること」は必須要件です。もし「すべて会社の責任」などという社員がいたとすれば、これも話が違うと思います。

皆さんの会社の「厳しさ」は、どんな「厳しさ」でしょうか。もう一度見直してみてはいかがかと思います。


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