2012年11月8日木曜日

叱る新人研修


もう何年か前になりますが、あえて厳しく叱って指導するという新入社員研修が、テレビや新聞記事で紹介されていました。

最近の新入社員は、ゆとり教育世代で叱られることに慣れておらず、「積極性に乏しい」「おとなしい」「打たれ弱い」と言われることが多いため、実践さながらに厳しく叱って指導することで、配属後に感じる現実の厳しさを知り、精神的圧迫への耐性をつけるのが目的とのことでした。(もちろん具体的事実に基づいて叱るなど、叱り方のテクニックには十分配慮されているとのことです。)

私も最近の新入社員を見ていて、「叱られると過剰に反応する」「軽いニュアンスの物言いを深刻に受け止めすぎている」など、要はキツイ言い方に慣れていないと感じる事が往々にしてありますし、こういう研修をやりたくなる気持ちもわからなくはありません。

ただ、叱られ慣れていない理由として、「ゆとり教育世代だから」といっている点は、あまり理解も共感もできません。

なぜゆとり教育だとそうなるのでしょうか? 
「褒めて育てるが行き過ぎた?」「教師の質?」「親や家庭の教育のせい?」「少子化の影響?(大人たちの構い過ぎで自律を阻害する)」「個人主義的な風潮?(社会経験を積む機会が少ない)」・・・。

たぶん理由は一つでなく、ここに挙げたすべてのこと、それ以外のこと、その他様々な要素が絡まっているでしょう。なぜこういう人が増えてきたのかはよく考える必要があると思います。

認識しなければいけないのは、「昔なら当たり前ですんでいたことでも、教えて訓練しなければならない」ということです。これは当事者である新入社員たちの責任ばかりではありません。ただ単純に、経験した事が無いから知らないし、できないし、耐性も無いのです。

当たり前と言われるようなことは、会社は「学校で教えるべきこと」と考え、学校は「家庭で教えるべきこと」と考えるようですが、結局は社会の一員である自分たちが、次の世代に経験させたり教えたり出来なかったことが、社会全体の問題として返ってきているのです。
しわ寄せの先が企業まで達してしまったということですから、社会的責任として取り組んでいくしかないのだと思います。

これからの社員教育では「こんなことも知らないのか」、「そんなの常識だろ」などと言わず、社会性の基礎になる部分についても、教えていく覚悟が必要なのだと思います。

社会的責任ということでいえば、私も子を持つ親ですが、親の責任としてきちんとしなくては、でも出来ているだろうかなどと考えてしまいました。
教育と言うのは本当に難しいテーマです。


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