2012年11月23日金曜日

他人を気遣えるスパイラル


とても勢いがある伸び盛りの会社と、業績不振で何かと厳しい状況の会社に、それぞれおうかがいする機会がありました。

伸び盛りの会社(以降A社とします)は初めての訪問で、ちょうど昼休みの終わり頃にうかがったのですが、受付スペース(結構広くて立派でした)で待っていると、通りがかる社員の方々が、みんな大きな声と笑顔で「こんにちは!」と挨拶してくれるのです。初めはお迎えの人が来たのかと勘違いするほどでした。

お会いしてお話した方々も、自分たちのビジネスの話を「こんな企画を考えている」「こんな計画がある」などと次々話して頂き、実に明るく前向きでした。私の仕事につながった訳ではなかったのですが、何となくすがすがしい良い気分になりました。

一方業績が厳しい会社(以降B社とします)ですが、お会いした方は何となく疲れている感じ・・・。ずいぶんお忙しいようです。とにかく目の前のことをこなすのが大変なようで、他の社員も自分のことで精一杯の様子です。先のことを聞いても、見通せないので何とも言えないとのこと。「自分もいつどうなるかわからないし・・・」と前向きとは程遠い感じでした。

この両社のお話の中で、私が感じた一番大きな違いは、“他人を気遣う余裕の有無”でした。
A社の挨拶などは一番わかりやすいのですが、挨拶それ自体の意味がそもそも相手の存在を確認しあう行為なので、しっかり挨拶ができる会社は他人への関心が高いといえます。
こういう会社は訪問者やお客様だけでなく、社員同士も積極的に挨拶します。もちろん日々の教育や指導もありますが、どんなに教えてもできない所はできません。最終的にはそれぞれの人が、他人に関心を持っているかどうかにかかってくるからです。

B社の方も、決して挨拶しない訳でも、礼儀がダメな訳でもありませんが、先のことが見えづらくなると人間は不安になり、まず自分を守ろうとし、その結果として他人を気遣う余裕がなくなってしまいます。
そうなると、たぶん社員同士での接し方がキツかったり、相手を責めたり、要求が一方的だったり、ということが日常的に起こっているのではないかと思います。会社はやっぱりチームなので、お互いがチームメイトのことを考えなくなったら、組織力は大きく下がってしまいます。

この状況を考えてみると、こんなスパイラルでつながっているのではないでしょうか。

○A社(良いスパイラル)
業績が良い(上がる)→ 余裕がある
  ↑              ↓
組織力が上がる ← 他人を気遣える

○B社(悪いスパイラル)
業績が悪い(下がる)→ 余裕がない
  ↑              ↓
組織力が下がる ← 他人を気遣えない

あるカウンセラーの方からうかがったことがあるのですが、「他人の相談に乗るには、自分の心に余裕がなければできない」とおっしゃっていました。
無理に多くの相談を受けようとして時間に追われたりすると、良いカウンセリングはできないので、ある程度余裕が持てるように、仕事量や時間の使い方を考えているとのことでした。

とはいっても、会社であれば自分の都合で勝手に余裕を持てる訳もなく、現実的にはなかなか難しい事です。でもスパイラルでつながっていると考えてみると、「卵が先か、鶏が先か」と同じで、どこから始めるかという話になります。

業績が上がれば、解決してしまうことかもしれません。でもそこが簡単にいかないならば、せめて出来るところから、例えば他人を気遣うことから始めると、業績アップにもつながっていくのではないかという気がします。


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