2012年11月6日火曜日

では誰が新卒を育てるの・・・?


ここ数年、新卒の就職内定率が低い傾向が続いています。

その一因として、「企業が即戦力を求めて中途採用にシフトしている」という話がありました。
要は変化のスピードが速く、育成している間に市場環境は変わってしまうので、すぐに仕事を任せられる人でないと、企業として変化についていけないという事です。

理屈はもっともですが、即戦力といわれる人も当然新人の未経験者時代がある訳で、誰が戦力となるように育てたかと言えば、新卒もしくは第二新卒で採用した企業という事がほとんどでしょう。

中には学生時代に勉強して、即戦力となるようなスキルを身に付けている人はいるでしょうが、今の日本の教育環境の中ではごく一部の人でしょう。「勉強していないお前が悪い」と学生だけを責めることはできないと思います。

世の中全体が中途採用シフトをしていくと、人材が流動化して働く場を得るチャンスが増えるという面もありますが、一方で仕事を通じて育成される場は失われていく傾向になると思います。当然新卒者、職務経験の少ない人にそのしわ寄せが向かうでしょう。

今まで新卒を多く採用してきた、相対的に競争力がある大手企業までが中途採用に傾くと、その傾向はなおさら顕著になると思います。
「人材育成は学校の役目だ」という話もありますが、やはり実務を通じての育成(要はOJT)は不可欠ですから、学校だけで全てを帰結するのは無理でしょう。

こんな状況を私は、プロスポーツの世界でビッグクラブ、ビッグチームが財力で有名選手を買い集めるという状況に似ているように感じてしまいました。ただスポーツの世界だと、弱小クラブが選手を発掘、育成して大きなクラブに売って移籍金を得るというモデルがありますが、一般の労働市場だとそうはいきません。(もしもこんな事ができれば、中小企業の新卒採用意欲は高まるかもしれませんね・・・)

今も業績を伸ばしている企業は、新卒入社と中途入社のバランスが良い会社が多いように感じます。プロスポーツの世界でも、生え抜きと移籍組のバランスが取れたチームが、良い成績を上げているのではないでしょうか。
ある時期に育成軽視で有名選手をかき集めて失敗し、あらためて育成とのバランスを取り直してチームを立て直したという話は、野球でもサッカーでも沢山ある話だと思います。

今は少子化で、新卒者の数は減っているのに、それでも就職が決まらない学生がこれほど多いのを見ると、どれだけ雇用環境がしぼんでしまっているのか、少し恐ろしい感じがします。

せめて一つ一つの会社で、もう一度育成と即戦力の適正なバランスを考え、一人でも多くの若者に働く場を与えて頂ければと切に願います。


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