2012年11月20日火曜日

嫌われる人事部門


以前、大手銀行出身の方と一緒に仕事をしていたことがあります。その方は「人事部門の人とはあまり付き合いたくない」とおっしゃっていました。なぜかをうかがうと、「ろくに面識が無い人が自分の評価や個人の事情を知っていることが嫌だ」とおっしゃっていました。

私は歴史ある大企業での人事経験はありませんが、その方にうかがったところでは、「人事は会社の中でも特別な位置づけで、社内でも人事は人事同士でしか付き合いが無い」などとおっしゃっていました。

人事部門の大きな役割として、会社の人的リソースが最大の力を発揮できるような環境を整えていくかということがあるので、そんなに嫌われる存在では大事な役割をこなすことが出来ないはずです。

私の経験としては、好かれる存在ではなかったかもしれませんが、そこまで煙たがられる存在だった経験も無く、社内のいろいろな人と幅広く付き合い、相談も受け、一緒に遊んだりしていました。私が現場経験を持っているということもあったのかもしれません。

「嫌われる人事」の話を聞いて、なぜそんなことになるのかを考えていたのですが、私の中での結論は、会社が人事の位置づけをどう考えているのかに尽きると思っています。

本来人事部門というのは、人という切り口で経営と社員を繋ぐ立場であることが理想だと思いますが、経営と近いところで動くことも多く、社員にとってマイナスに働くことでも手掛けなければならないことがあります。
内部的な情報に触れ、個々の社員の身の上に関わるようなことを決めなければならないこともあります。

会社が経営的な都合だけで人事部門を利用しようとすれば、社員から遠い存在になってしまうのは当然でしょうし、経営環境が厳しい昨今ではそのような傾向が強まっているように思います。また企業規模が大きくなり、組織化が進むほどに現場と人事部門の距離は遠くなり、同じような傾向が強くなっていくようにも思います。

どんな部門に属していても、多かれ少なかれあるのかもしれませんが、特に人事部門においては、そこに属していながら自分の信条に合った動きを取り続けるのは難しいことなのかもしれません。
それでも本来の役割を考えれば、経営からの要求に対して強く物申すことも、時には必要だと思います。

私自身が組織に属している時に、そのような行動ができていたかといえば全く不足だったと思いますが、「現場の人たちが持つ気持ちから遠ざかることは絶対にしない」ということだけは常に信条として持っていました。

人事部門が人を扱う仕事である限り、単純に嫌われる存在であってはならないということだけは強く思っています。


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