2012年11月30日金曜日

「言い訳」と「説明」の紙一重の違い


少し前のことですが、あるニュース番組を見ている中で、首相の側近という方がインタビューされていて、その方が首相に対して、その当時のゴタゴタしていることの事情をきちんと説明した方が良いと進言したところ、首相は「言い訳はしたくない」と言っていたという話がされていました。

その話を聞いて、私は昔の自分の上司がいつも「後から言ったら言い訳だけど、前もって言えば説明だから、常に説明するようにしていれば、相手に信用してもらえる」と言っていたのを思い出しました。

考えてみると「言い訳」「説明」の違いというのは、事前とか事後とか言いますが、実はその差は紙一重ではないかと思います。実際には連続線上につながっていて、明確な切れ目は存在しないのではないでしょうか。
「言い訳をしない」というのは美徳かもしれませんが、それを重んじ過ぎると、連続線上にある「説明すること」自体も不足してしまい、結果として信用を失ってしまうように思います。

企業内であれば、例えば

○部下に対して「言い訳するな!」と強く言ったために、その後、部下からの説明や相談など、コミュニケーション自体が減ってしまった。

○上司が指示を出す時に、きちんと説明をしなかったために良い結果が出ず、部下は言い訳的な報告をせざるを得なくなり、上司はそれを責める。(責めていること自体が実は自分の説明不足の言い訳)

○顧客との関係の中で、事前に意思疎通ができていなかったため、後追いで事情説明(要は言い訳)をしなければならなくなった。

その他、「言い訳」「説明」のつながりの間で起こる問題は、意外にたくさんあるように思います。

こんなことを避けるためにどうするかは、結局のところ事前に考えていることや想定していることはできる限り相手に説明し、理解してもらう事を真摯に続けるしかないのだと思います。
「言い訳」「説明」の切れ目が明確でないと考えれば、言い訳的になってしまう時でも、説明しないよりはした方がマシということではないでしょうか。コミュニケーションを避けることで、信頼が増すということはありません。

ちょっとしたきっかけで昔に言われたことを思い出し、意外に良い指導を受けたのかもしれないと、今さらながらかつての上司に感謝しているところです。


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